MONSTER(モンスター)のあらすじを解説！どんな内容の漫画なの？

浦沢直樹の名作『MONSTER』は、一度助けた少年が冷酷な連続殺人鬼へと変貌し、天才脳外科医・天馬賢三がその宿命に立ち向かう極上のサスペンス・ミステリー。

舞台は1980年代のドイツ。善と悪、そして「怪物」とは何かという問いを繊細に描きながら、読者を最後まで引き込む緊張感あふれる展開が待っています。

衝撃の結末と、多層的なテーマが絡み合う物語は、一度読み始めたら目が離せません。

この記事では、MONSTER(モンスター)の魅力的なあらすじや登場キャラクター、物語の見どころを詳しく紹介していきます。

漫画 MONSTER(モンスター)はどんな内容？あらすじを解説！

漫画「MONSTER(モンスター)」とは？内容とあらすじ

浦沢直樹の『MONSTER』は、サスペンスとミステリーを融合させた名作で、1994年から2001年まで「ビッグコミック」に連載されました。

舞台は1980年代のドイツ。物語は、日本人の天才脳外科医・天馬賢三（Dr.テンマ）が、彼自身が命を救った少年ヨハン・リーベルトが成長して冷酷な連続殺人鬼になるという衝撃的な展開を描いています。

物語の始まりは、デュッセルドルフの病院で働くテンマが、病院内の政治的圧力に逆らい、重傷を負った少年ヨハンの命を救ったことから始まります。

しかし、この決断によりテンマは出世の道を断たれ、キャリアを失うことに。それでも彼が助けたヨハンが後に連続殺人鬼となり、テンマは自分が犯した「選択」の責任を感じ、ヨハンを止めるために追跡の旅に出ることになります。

物語は、ヨハンの双子の妹ニナとの再会や、テンマを執拗に追う刑事ルンゲとの緊迫した対決など、多くの見どころが満載。テンマがヨハンを追いながら、彼が関与する凶悪事件の真相に迫っていく姿が描かれていきます。

『MONSTER』は、単なるサスペンスを超え、倫理的な葛藤や人間の本質への問いかけを含んだ重厚なストーリーが特徴です。テンマの選択がもたらす結果や、善悪の曖昧さが読者に深い考察を促す作品となっています。

登場人物・キャラクター

• 天馬賢三（Dr.テンマ）
• ヨハン・リーベルト
• ニナ・フォルトナー（アンナ・リーベルト）
• ハインリッヒ・ルンゲ警部

天馬賢三（Dr.テンマ）

物語の主人公である天馬は、優れた技術を持つ日本人脳外科医です。

将来が約束された出世コースに乗っていた彼は、ヨハンの命を救ったことをきっかけに、そのすべてを失ってしまいます。

医師としての信念や道徳的な責任に葛藤しながらも、自らが救った命が連続殺人鬼へと変貌したことに対する責任感から、ヨハンを止めるための旅に出ます。物語の中心には、天馬の成長とヨハンとの対決が据えられ、彼の葛藤や決意が大きなテーマとなっています。

ヨハン・リーベルト

美しい外見と天才的な頭脳を持ちながら、冷酷無比な連続殺人鬼として描かれるキャラクター。

幼少期に非人道的な実験を受けたことが彼の人格形成に大きく影響しており、彼はそのカリスマ性で人々を巧みに操ります。

しかし、その残虐性の裏には、人間的な側面や救いを求める心も見え隠れし、物語の深いテーマに繋がっています。ヨハンの存在は、ただの悪役にとどまらず、人間の本質や善悪の曖昧さを象徴する存在として描かれています。

ニナ・フォルトナー（アンナ・リーベルト）

ヨハンの双子の妹で、物語の重要な人物の一人です。

物語の冒頭では記憶を失っていますが、次第にヨハンを止めるために動き出し、兄との再会や対峙が物語のカギとなります。

彼女のキャラクターは「光」を象徴しており、ヨハンの冷酷な内面との対比が際立っています。ニナの成長や、彼女が抱える苦悩と使命感は物語の感情的な核心でもあります。

ハインリッヒ・ルンゲ警部

ドイツ連邦捜査局（BKA）の敏腕警部であり、執拗にテンマを追い続けるキャラクターです。

冷徹な分析力と強い信念を持ちながらも、テンマがヨハンの真実に迫る一方で、ルンゲはテンマこそが犯人だと信じて疑いません。彼の存在は、天馬との対立構造を生み出し、物語に緊張感を加えています。

ネタバレ注意！見どころを紹介

『MONSTER』の最大の見どころは、緻密に作り込まれたストーリーと、登場人物たちの複雑な心理描写にあります。

特に主人公・天馬賢三が、自らの手で命を救った少年ヨハンが成長し、冷酷な連続殺人鬼へと変貌していく姿に対し、彼を止めるために執念を持って追跡する展開は、物語全体に緊張感を生み出しています。

天馬が葛藤しながらも医師としての責任感からヨハンを追う姿は、単なる復讐劇を超えた深みを持っています。

また、ヨハンの双子の妹ニナ（アンナ）や、テンマを真犯人と信じて追い続ける冷徹な警部ルンゲといった複雑な人間関係も物語の大きな魅力です。

各キャラクターのバックグラウンドや動機が丁寧に描かれており、単純な善悪の対立を超えた物語の構造が、読者に深い考察を促します。

物語は1980年代から90年代のドイツを舞台に、政治的・歴史的な背景も交えながら進行します。特にヨハンという「怪物」の存在が何を象徴しているのかというテーマは、物語の核心を成しています。

終盤において、ヨハンが「自分の人生を消し去る」ことを望んでいたことが明かされ、彼の行動が単なるサイコパス的な動機ではなく、過去に根ざした複雑な内面から生じていたことが示されます。

このテーマにより、物語はサスペンスの枠を超え、読者に人間の存在や自己認識の深層を問いかける作品となっています。

ヨハンの正体、本当の名前

ヨハン・リーベルトは、『MONSTER』の中で何度も名前や存在を変え、その正体が曖昧なまま描かれるミステリアスなキャラクターです。

彼の本名や出生については、物語の一部で明かされるものの、彼が幼少期に「511キンダーハイム」という非人道的な洗脳実験の場で育ったことが、彼の人格形成に大きな影響を与えています。

この実験によって、ヨハンは自分を「名前のない怪物」として認識し、自らの存在や名前を消し去ることに執着するようになりました。

双子の妹アンナ（幼少期の名前は「アンナ・リーベルト」）とは対照的に、ヨハンは過去を完全に抹消しようとし、何度も自分の名前や存在そのものを否定します。

彼にとって「ヨハン」という名前さえも、自身が「怪物」であることの象徴であり、その正体が何なのかは最後まではっきりとは定義されません。

このようにヨハンの存在は、読者に「彼は本当は何者なのか？」という深い問いを投げかけ、物語全体のテーマである人間の本質や自己のあり方に迫る要素となっています。

いらなかったのはどっち?

物語の重要な問いの一つに、「いらなかったのはどちらか？」というテーマがあります。

ヨハンとアンナ（ニナ）の母親は、双子のうち片方をフランツ・ボナパルタに差し出す際、アンナを選びましたが、それが意図的だったのか、間違いだったのかは曖昧にされています。

この選択がヨハンの心に大きな影響を与え、彼が「自分は不要な存在だ」という自己認識を強め、物語全体にわたる彼の行動の動機となっています​。

この疑問は最後まで解決されることはなく、物語における人間の不完全さや運命の残酷さを象徴しています。

ヨハンは何がしたかったのか

ヨハン・リーベルトの行動は、その目的が明確に示されないために、謎めいていますが、彼の行動の背後には一貫した「自己消滅」への欲望が見て取れます。

幼少期から彼は、「自分がこの世界に存在する理由」を探し続け、最終的には「誰からも認識されずに世界から消えること」を目指していたようです。

ヨハンは「名前のない怪物」というテーマを体現しており、自分の存在そのものを否定するため、あえて凶行を重ね、世界から自分を完全に消し去ろうとしました。

ヨハンの目的は単なる破壊や殺人に留まらず、彼の行動は「何もない場所に到達する」という極端な哲学的探求に支えられていると言えます。

このような目的の不条理さが、彼のキャラクターをただの悪役ではなく、より複雑で魅力的な存在にしています。ヨハンの行動の背景には、人間や世界の本質に対する深い疑問があり、これが彼の「怪物」としての自己認識と強く結びついています。

この「消滅への欲望」は、物語を通して彼の行動を理解する上での鍵となっており、彼の哲学的な追求が多くの人々を魅了し、同時に恐怖させる要因でもあります。

漫画ラストの考察・ヨハンのその後

『MONSTER』のラストシーンで、ヨハンは再び頭部を撃たれて昏睡状態に陥りますが、テンマの手術によって命を救われます。

しかし、その後、ヨハンは病室から姿を消し、その行方はわからないままです。

この結末は非常に曖昧で、ヨハンが再び生き延びたのか、あるいはどこかで命を絶ったのかは明確に描かれていません。この曖昧さが、物語に多くの解釈を生む要因となっています。

最終的にテンマは、ヨハンを救うか殺すかの選択を迫られましたが、医師としての使命感から再び彼を助けました。その後、ヨハンは姿を消し、物語は大きな謎を残したまま幕を閉じます。

物語のラストは「怪物とは何か？」という問いに対する明確な答えを示さず、読者に様々な解釈を委ねています。

ヨハンが「怪物」として生き続けるのか、それともその人格を捨て、新たな人生を歩むのか、あるいは完全に自分を消し去ることに成功したのか――その結論は描かれません。

この曖昧な結末こそが、物語全体のテーマである「人間の本質」や「怪物とは何か」という問いを深め、単純な結末を避けた深いメッセージ性を強く感じさせる要因となっています。

「人間の本質」や「怪物とは何か」という問いを投げかけており、単純な結末を避けた深いメッセージ性が感じとれます。

本当の怪物

『MONSTER』における「怪物」が誰を指すのかは、物語を通じてあえて明確にされていません。

表面的には、ヨハン・リーベルトが冷酷な連続殺人鬼として描かれ、「怪物」と見なされがちですが、物語の深層では、彼もまた被害者の一人です。

ヨハンを「怪物」にしたのは、幼少期に受けた非人道的な実験や、それを背後で操った大人たち、つまり人間社会そのものだとも解釈できます。

特に、フランツ・ボナパルタやクラウス・ポッペといった、実験を計画・実行した者たちは、ヨハンという「怪物」を生み出した張本人たちです。彼らこそが「本当の怪物」であるという解釈も可能です。

この視点から見ると、ヨハンは彼らによって操られ、彼らの歪んだ思想の犠牲者であるとも言えます。

さらに、物語全体を通じて、人間の中に潜む「悪意」や「暴力」が大きなテーマとなっており、それ自体が象徴的な「怪物」として描かれています。

つまり、『MONSTER』における「怪物」とは、個人に限定されず、むしろ人間社会が抱える負の側面や、誰の心の中にも潜む破壊的な感情そのものを指していると考えられます。

この多層的な解釈が、『MONSTER』の魅力と深さを際立たせています。

読者レビュー：口コミや評判

『MONSTER』は、その緻密なキャラクター描写と複雑なストーリー展開が、多くの読者から高く評価されている作品です。

特に、サスペンス漫画としての完成度が際立っており、緊張感あふれる展開が読者を物語に引き込む大きな要因となっています。

物語の前半から中盤にかけて、テンマがヨハンを追う過程で展開されるサスペンスとミステリー要素は、読者から絶賛されています。

一方で、物語の終盤については賛否が分かれる部分もあり、前半の勢いに比べて少し失速したと感じる読者もいるようです。

しかし、全体を通して「深く考えさせられる作品」であり、社会的なテーマがしっかりと描かれている点は、多くの読者が共感するポイントとなっています。

ミステリーやサスペンスを好む読者にとっては、間違いなくおすすめの作品といえるでしょう。

引用元 ebookjapan レビュー

漫画は全何巻?発売日と価格

『MONSTER』は全18巻で完結し、1994年から2001年にかけて「ビッグコミックオリジナル」で連載されました。現在では全巻が発売されており、物語も完結しています。

また、2008年には加筆修正が施された「完全版」が全9巻でリリースされており、この完全版も多くのファンから高く評価されています。

巻	タイトル	発売日	電子版価格(税込み)
1	ヘルDr.テンマ	1995年6月30日	770円
2	戦慄の誕生日	1995年9月30日	770円
3	511キンダーハイム	1996年4月27日	770円
4	アイシェの友達	1996年8月30日	770円
5	カーニバルのあと…	1997年4月2日	770円
6	秘密の森	1997年5月30日	770円
7	リヒャルト	1997年10月30日	770円
8	名なしのヒーロー	1998年2月26日	770円
9	なまえのないかいぶつ	1998年5月30日	770円
10	ピクニック	1998年10月30日	770円
11	死角	1999年3月30日	770円
12	バラの屋敷	1999年6月30日	770円
13	脱走	2000年2月29日	770円
14	あの日の夜	2000年6月30日	770円
15	記憶の扉	2000年10月30日	770円
16	おかえり	2001年2月28日	770円
17	ただいま	2001年8月30日	770円
18	終わりの風景	2002年2月28日	770円
全巻：合計金額			13,860円

全巻を購入すると13,860円になりますが、電子版はクーポンやキャンペーンを利用することで、40％から90％OFFで購入できます。

出版社

『MONSTER』は小学館が出版しており、同社の青年向け雑誌「ビッグコミックオリジナル」で連載されていました。

さらに、単行本だけでなく、加筆修正された「完全版」や電子版もリリースされており、さまざまなフォーマットで楽しむことができます。

作者情報！漫画家「浦沢直樹」さん

浦沢直樹（1960年1月2日生まれ）は、日本を代表する漫画家の一人です。東京都府中市出身で、幼少期から手塚治虫の作品に強い影響を受け、自然と漫画の世界に引き込まれていきました。

彼は1983年に『BETA!!』でデビューし、その後、数々の名作を手がけながら漫画家としてのキャリアを急速に築いていきました。

浦沢の代表作には、『YAWARA!』、『20世紀少年』、そして『MONSTER』があります。特に『MONSTER』では、人間の心に潜む「怪物」をテーマに、緻密なサスペンスと複雑なストーリーで多くの読者を魅了しました。

この作品で彼は1999年に手塚治虫文化賞を受賞し、その後も『20世紀少年』や『PLUTO』など、数々の作品で多くの賞を受けています。

彼の作品は、単なるエンターテインメントに留まらず、社会的・倫理的なテーマを深く描くことでも知られています。

『20世紀少年』では、少年時代の夢と現代社会の不安が交錯し、『PLUTO』では手塚治虫の『鉄腕アトム』の一エピソードを元に、AIやロボットをめぐるテーマを掘り下げました。

浦沢の作風は、緻密なストーリー展開とともに、キャラクターの内面を細かく描写することが特徴です。また、彼自身音楽にも強い情熱を持っており、その影響は作品内にも表れていて、音楽的要素が物語に独特な雰囲気を加えています。

現在も浦沢は漫画家として活動を続けており、その影響力は日本国内にとどまらず、世界中に広がっています。

さらに、彼はYouTubeチャンネル「浦沢チャンネル」を開設し、ファンとの交流や、漫画制作の舞台裏を紹介するなど、より身近に感じられる存在としても注目されています。

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これらのサイトへのアクセス自体がリスクを伴うため、安全に漫画を楽しむためには、公式の電子書籍サービスを利用することが強く推奨されています。

まとめ

『MONSTER』は、浦沢直樹によるサスペンス・ミステリーの名作で、人間の内面に潜む「怪物」と倫理的な葛藤を描いた重厚な物語です。

主人公・天馬賢三は、医者として救った少年ヨハン・リーベルトが後に連続殺人鬼として成長してしまい、その事実に衝撃を受けながらも彼を追う逃亡劇を繰り広げます。

物語はヨハンの過去や複雑な人間関係を軸に、善悪や正義、罪の境界線を問いかけ、深いテーマを追求します。全18巻で完結し、アニメ化もされ、長く多くのファンに支持されています。

特に、緻密なストーリー展開やキャラクターの心理描写が高く評価され、サスペンスファンには必見の作品です。

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